日刊映画日記

赤宮です。楽しく映画を語ります。ネタバレは少なめ。

ドント・ブリーズ/Don’t Breathe(2016年)

ドント・ブリーズ/Don’t Breathe(2016年)監督:フェデ・アルバデス

 

(訳あって、今回は予告編を一番最後に付けてます)

 

経済が破綻し、治安の悪化が進むデトロイト。街の不良少女ロッキーは、恋人のマネー、友人のアレックスたちと強盗を繰り返している。

ロッキーの家庭環境は劣悪で、今日も母親が見知らぬ男を連れてくる。ロッキーの夢は、愛する妹を連れてサンフランシスコに逃げること。そのためにはもっと多くのお金が必要だ。

そんな折、マネーが30万ドル相当の現金を溜め込んでいるという老人の情報を仕入れてくる。老人は盲目の退役軍人で、人里離れた場所で一人暮らしているらしい。これを狙わない手はない。ロッキーたちはこれを最後の仕事と決め、三人で老人の家への潜入を試みるのだが。…

 

ドント・ブリーズ』の物語を一言で、共感を得やすいようにまとめると、「三人のバカが元軍人のジジイの家に侵入した結果wwwww」ということになるだろう。少々雑にまとめすぎた気もするが、間違ったことは言ってない。

この元軍人の老人が凄まじく強いのだ。盲目であるにも関わらず、超人的感覚を駆使して主人公たちを執拗に追い詰める。三人も若者が居ればなんとかなりそうな気もするのだが、実際のところ全く敵わない。我が家を知り尽くした老人は家の中を堂々歩いてくるし、一度自分の間合いに入れてしまえば、赤子同然に相手を倒してしまう。主人公たちにとって、なんとも恐ろしい存在なのである。

こうした老人の恐ろしさは、主観撮影を駆使した映像づくり、そして細かな音を効果的に使う音響仕事に支えられているところが大きい。クレーンやトラックを細かく使った主観映像は、ゆっくり、ゆっくりと恐怖に近づいていくサスペンスを上手く表現しており、見るものの心を揺さぶってくれる。また、小さな音から大きな音まで、あらゆる物音を絶妙なタイミングで鳴らしてくるその手法は、「盲目の老人は音に反応して動く」という基本設定を活かす形で働いている。

ドント・ブリーズ』は、まず基本的なテーマ(「三人のバカが元軍人のジジイの家に侵入した結果wwwww」)を固めた上で、それをどうやって表現するかを誠実に追究した作品だ。倒せそうで倒せない、何とかなりそうで何とかならない老人が恐ろしい。

 

…と、いうわけで、とりあえず『ドント・ブリーズ』を見てほしいのだ。実を言うと、この映画はネタバレ無しで語れる部分が非常に少ない。後半で語られる作品の思想に触れようにも、細かい伏線を絶賛しようにも、作中頻発するサスペンスとサプライズの組み合わせの素晴らしさを詳しく褒めようにも、どうしてもネタバレ内容に抵触することになってしまう。

ドント・ブリーズ』は、予備知識を必要としない、言ってしまえば、予備知識を入れないほうが絶対に面白い映画だ。予告編も見ないほうが良い。正直言って、少しでもネタバレに触れてしまえば、この映画の面白さは激減する。この記事では、可能な限りネタバレを排除した上で、それでもこの映画の素晴らしさが分かるように工夫したつもりだ。

ネタバレ抜きでこの映画が面白いことだけを伝える…赤宮なりに工夫した、そのための一言こそが、「三人のバカが元軍人のジジイの家に侵入した結果wwwww」というものなのだ。

 

今すぐアマゾンかツタヤでレンタルして、来週末の予定表に書き込もう。『ドント・ブリーズ』を見る。90分前後の短い映画だ。週末の夜には丁度いい。パニックものなので恋人と見ても良い。1人で見ても良い。とにかく、ネタバレに触れる前に『ドント・ブリーズ』を見ておこう。

本編見る前には絶対に見てはいけない予告編がこちらです。


DON'T BREATHE - Official Trailer (HD)

(本編見た後に、「いや、これネタバレしすぎちゃう?」と楽しむのが、正しい楽しみ方)

2017/10/14