日刊映画日記

赤宮です。楽しく映画を語ります。ネタバレは少なめ。

ルパン三世 カリオストロの城(1979年)

ルパン三世 カリオストロの城(1979年)監督:宮崎駿

★★★★★

 

 

 

文句なしのエンターテインメント


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◯あらすじ

国営カジノから大金を盗み出したルパン三世一味は、手に入れた金が本物同然の偽札であることに気づく。ルパンと次元は贋金を放り捨て、その金の出処とされるカリオストロ公国に向かう。国に入り道を走っていると、ウェディング姿の女性が怪しい男たちに車で追われている場面に遭遇する。ルパンは追手を撃退し、その女性クラリスがかつて自分を救ってくれた女の子であったことを認識する。

ルパンは崖から落ちて気絶し、その間にクラリスは追手たちに誘拐されてしまった。追手を差し向けたカリオストロ伯爵は、クラリスの身柄を確保するが、彼女が持っていたはずの指輪を発見できない。伯爵は指輪を取り戻すべく、ルパンたちに暗殺者を差し向ける。…

 

 

 

ルパン三世 カリオストロの城』は1979年公開のアニメ映画で、監督は宮崎駿

 

 

 

宮崎監督のアニメはいつみても構成の完成度が高く、本当にノーストレスで鑑賞できる*1。『カリオストロの城』もわかりやすくて面白い。金庫泥棒の短いオープニングは一瞬で物語の背景を説明してくれるし、『ルパン三世』初見の観客にも一瞬で前提を理解させてしまう。

続くシーンも驚きの連続だ。画面を縦横無尽に駆け巡るカーチェイス、ピストル一つとっても発砲が小気味良い。要塞として君臨するカリオストロの城に入ってからも、ギミック入り乱れる城内を探検するルパンや銭形警部の姿がなんだか楽しい。

 

 

 

…とまあ、正直言うと、余り言うところが無いのだ。

宮崎監督が半年強という強行スケジュールで本作品を仕上げたことから分かる通り、『カリオストロの城』はとてつもなく素晴らしい作品で、それ以上もそれ以下でもない。

一つ一つのシーンや構成を褒めることは出来るけれども、そこに赤宮なりの切り口を加えることがとても難しい。ストーリーの流れは単線的かつわかりやすく、画面構成にも批判すべきポイントが(少なくとも目に見える形では)存在しない。一回観ただけでは絶賛するしかなかった。

 

 

 

ただし、オリジナルアニメでないということもあってか、後年の宮崎監督作品に比べると、思想や価値観の表出があまり観られない。原作の『ルパン三世』に比べて、登場人物たちの毒は薄く、行動も倫理的だ。ルパンたちは規範に沿った正しい行動をしていて、泥棒らしい、犯罪者らしい行動は選択しない。

いわゆる「原作モノ」の作品として批判されるポイントだったのかもしれない。40年近く昔の作品なので、今更当時の批判を確認することも難しいが。

 

 

 

久々にいいアニメをみて、お腹いっぱい。そんな気分だ。

 

2021/09/03

*1:例外は『風立ちぬ