日刊映画日記

赤宮です。楽しく映画を語ります。ネタバレは少なめ。

スパイダーマン(2002年)

スパイダーマン/Spider-man(2002年)監督:サム・ライミ


Spider-man Trailer

ピーターは、叔父と叔母と生活する高校生だ。遺伝子操作されたクモに噛まれてしまい、超人的な力を手に入れた高校生ピーター。いじめられっ子フラッシュを見返し、大好きな女の子MJともいい雰囲気に。しかし、義理の親と慎ましい生活を送るピーターには、MJをデートに誘えるようなお金はない。ピーターはこの力をうまく使い、一山当ててやろうと企む。

力を手に入れて以来、強気な態度が目立っていたピーター。その変貌を心配した叔父は、ピーターの見送りを申し出、二人きりで話す機会を設ける。ピーターに大人になる過程、それに伴う責任の大切さを説く。そして叔父は、事情を知ってか知らずか、一つの言葉を投げかける。「大いなる力には、大いなる責任が伴う」…しかし、思春期特有の反抗期や、力を手に入れた全能感から、ピーターは叔父の言葉に耳を貸そうとしない。叔父は「22時に迎えに来るから」と言って、ピーターを車から降ろした。

「3分間耐えきったら3000ドル」という広告に惹かれ、アンダーグラウンドのアマレスに出場するピーター。クモの力を上手く使って立ち回り、筋骨隆々なレスラーを翻弄する。見事レスラーを倒すものの、主催者から「2分で終わったから100ドルだ」と言いがかりを付けられてしまった。「生活に困ってるんだ」と食い下がるものの、主催者は「俺には関係ないよ」と切り捨てる。何となく釈然としない思いを抱えつつ、その場を後にするピーター。

そこに、銃を持った強盗犯が押し入ってきた。強盗犯は主催者から金を奪い、慌ててその場を逃れようとする。丁度アマレス会場を離れようとしていたピーターの目の前に強盗犯が迫る…が、ピーターは強盗犯を意図的に逃してしまう。どうして逃したんだ、とピーターを詰め寄る主催者。ピーターは強い皮肉を込めて「俺には関係ないよ」と切り捨てた。

 

会場を出たピーター。外が何やら騒がしい。近くに人だかりができていた。嫌な予感がする。人をかき分けていくと、そこには瀕死の叔父の姿が。車泥棒に殺されたという。怒りを覚え、スパイダーマンとして犯人を追うピーター。クモの糸を最大限に活用し、警察よりも早く犯人を追い詰める。しかし、車泥棒の正体は、先程自分が見逃した、強盗犯だった。そしてついに、ピーターは自らの手で裁きを下すことに成功する。

叔父の事件を経て、大人としての自覚が生まれたピーター。自分の力と改めて向き合い、その力を正しく使うべく、「スパイダーマン」として活動していくことを決意した。…

 

元祖映画スパイダーマンサム・ライミ監督三部作のひとつめ。内容はやはり王道。ギャグ要素もほとんど無く、「スパイダーマン」ピーターが大人、友情、恋愛など、思春期の問題とシリアスに向き合うものとなっている。

ビルとビルの間を飛び交うスパイダーマンも、一度スーツを脱げば平凡な学生。叔父との間のどこかギクシャクした親子関係であるとか、親友との間で初恋の人を取り合ったりだとか、青春の難題と向き合うことになる。

もう散々語り尽くされてきた話題ではあるだろうが、傲慢になっていたピーターが叔父の死を通じてヒーローになる覚悟を得るシークエンスは、今見直しても非常に説得力のあるものだ。実際、「もしスーパーマンになったらどうする?」といった質問に対して、「世界征服」やら「お金儲け」やら答える子どもたちも多いだろう(大人たちもきっと多い)。そんな人びとに対して、『スパイダーマン』は、力を適切に使うことの大切さを説く。ピーターがスパイダーマンへと成長していく過程を、叔父の死という出来事を通じてしっかりと描いている点が、単なるヒーロー物の枠を超え、アメリカ国民から愛される作品となっている理由なのかもしれない。

個人的には『スパイダーマン:ホームカミング』のほうがポップで好きだが、こういうシリアスなアメコミ映画も無しではない。

スパイダーマン (字幕版)
 

2017/9/30