日刊映画日記

赤宮です。楽しく映画を語ります。ネタバレは少なめ。

キングスマン:ゴールデン・サークル/Kingsman:The Golden Circle(2017年)

キングスマン:ゴールデン・サークル/Kingsman:The Golden Circle(2017年)監督:マシュー・ヴォーン

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映画「キングスマン:ゴールデン・サークル」予告A

 

英国の高級テイラー、『キングスマン』。その入口から一人の青年エグジータロン・エガートン)が現れた。…

 

 

このくらいにしておこう。いつもなら出来る限りネタバレ抜きの丁寧なあらすじから始める本ブログだが、今回はそれも無しにしたい。というのも、『キングスマン:ゴールデン・サークル』では、上映開始後数分もしないうちから、前作視聴者にとって驚きの展開が続くからだ。ネタバレ抜きではあらすじが書けない。それでも、可能な限り『キングスマン2』体験を共有したいと思う。

 

前作『キングスマン』は、英国発の新しいスパイ映画として大きな成功を修めた。「マナーが、人を、作るんだ」やら、高級テイラーのスーツを完璧に着こなす俳優陣、謎グッズを使いこなしたエレガントな戦闘シーンやら、とにかく紳士的に格好の良い映画だった。とはいえ、紳士らしさは表面上だけ。会話の節々には下品なスラングが頻出するし、『キック・アス』を監督したマシュー・ヴォーンならではの過激な戦闘シーンも魅力の1つだ。

俳優陣にも全くもってハズレがない。『キングスマン』出演を通じて一気に名を挙げたタロン・エガートン、『英国王のスピーチ』から一転してダンディな紳士を演じきったコリン・ファース。悪役を演じる名優サミュエル・L・ジャクソンや、主人公のアシスタントを演じるマーク・ストロングにソフィ・クックソン、いやはや本当に良い映画だったと思う。

 

そうした期待を膨らませて『キングスマン:ゴールデンサークル』を見に行くと、良くも悪くも期待を裏切られることになるだろう。

マシュー・ヴォーン監督は、続編制作にあたって、第一作での成功に甘えないタイプの映画監督なのかなと思う。『キングスマン:ゴールデンサークル』も、前作の評判にあやかるのみでない、新しい試みに溢れた作品だった。

特に、とある人物にまつわるエピソードは、「やりたい放題やな…」と呟かずにはいられない。そんな強引なご都合主義があってたまるか、と思うのだが、「まあ、『キングスマン』だししゃーない…」と思わせるところは、この作品のブランドがしっかりと固まりつつあることを示している。

とはいえ、骨格部分では前作の良いところをしっかりと踏襲している。特に、中盤のとある戦闘シーンは、まさに前作の良いところをセルフカバーしたものだった。詳しくは伏せるが、あの場面に入った瞬間、ニヤつきが止まらなくなることうけあいだ。

 

良いところばかりでもない。いくつか「どうしてそうしたのか?」と思わずにはいられない場面がある。それも、前作に思い入れがあればあるほど、それらの展開に「なんでやねん…」と思わずにはいられないような場面だ。悲しくなる。

しかし、驚くことに、今作『キングスマン:ゴールデンサークル』には、「まあ今回であれだけハチャメチャやったんやし、そのうちみんな元通りになってるんやろ…」と思わせてくれる力強さがある。こればかりは見てもらわないと分からない。一刻も早く映画館に足を運んでいただきたい。台湾はすでに上映しているらしいぞ!

 

最後に。この映画を見る上で注意してほしいのは、前作を見ていないと何が何だかさっぱりわからないということだ。日本公開まではまだ時間がある。その間に一作目じっくり予習して、万全の状態で『キングスマン』体験をしてほしいと思う。時が来れば、またネタバレ版レビューを書きたい。

 

(ちなみに、本来のレビューはこの3倍ほどの文字数。多分、ネタバレしたらもっと面白い記事になったんだけどね!しないけど!) 

 (前作。)

2017/9/24